8.インターネットジョークの面白い短文でユーモアセンスを磨くアーカイブ

  1. 江戸時代のユーモアセンス
  • 江戸時代のユーモアセンスを一部紹介します。ダジャレ、謎掛け、落語などの昔ながらのユーモアセンスに通ずるものがあります。

    【小便】
    雪の夜中、小便つまりて目ざめ、起きて立ち出で、
    雨戸開けにかかったところ、凍りついて、いかなこと明かず。
    しかたなければ、敷居へかがんで小便をたれかけ、さて明けてみれば、
    氷とけて、がらりと明いたり。「よし」と言いて出でたところが、何も用なし。
    【明和九年刊「鹿の子餅」】

    [江戸っ子が放つ下ネタ]
    娘子の 裾をめくれば富士の山
    甲斐でみるより 駿河一番

    太田濁山人

    *解説
    一文に二重の意味を持たせています。
    ひとつは[嗅いでみるよりスルがいい ]の意味
    ふたつめは、観光名所地名「甲斐」より「駿河」で富士山を見た方がいいっていう意味です。

    【雁首(がんくび)】
    お姫様、庭のけしきを眺めて、たばこをあがる。
    折りふし、空を雁が渡るゆへ、お姫様「あれを見や。局、がんが通る」とおっしゃった。
    局「がんは雁(かり)とおっしゃるがよふござります」と申し上げた。
    お姫様、吸いがらをはたくとて、雁首(がんくび)がぬけて灰ふきの中へおちた。
    「これ、灰ふきの中へかりくびがおちた」

    【泣声】
    門番の嬶(かかあ)が毎晩外へ聞へるほどに泣くゆへ、殿様よりいろいろ御内証にて、
    一夜嬶をお借りなされ、取らせられ御覧あるに、少しも泣かざれば、ご不審にて、
    門番を召寄せられ「おれがしては少しも泣かぬが、其方は薬でも付けるか、
    大道具か上手か、どうして泣かせる」とのお尋ね。
    「ハイ、泣きまするは、私でござりまする。」

    【蛸(たこ)】
    蛸、あまりの暑さに、橋の下へ出て、昼寝をしている。
    猫見つけ、足を七本食い、一本残しておく。蛸目をさまし、
    「名無三(しまった)、足を食われた。かなしや」と、向こうを見れば、
    猫、そら寝いりをしてゐる。蛸、川へまきこまんと、一本の足で、ぢゃらす。
    猫「その手は食わん」


    【貧乏神】
    だんだんと貧乏になるにつけて「これは貧乏神を祭るがよい」と、
    わが食ひものもくはずに馳走する。なほなほ貧乏になれば腹を立て
    「コレ貧乏神、これ程に馳走するに、なほなほ貧乏にするはつまらぬ」と、
    張肘をすれば、貧乏神「あまり馳走で、家内引越した。」